#1724 ミスに気づく嗅覚
囲碁は「自分がミスをしないように、相手のミスを待つ」という勝負である。
中日新聞:週のはじめに考える 三連敗四連勝の「奇跡」:社説(CHUNICHI Web)
羽根本因坊は勝負の内実をこんなふうに語ります。
「碁はうまい手を打ってリードするというものではありません。そもそも相手が間違わなければ勝つことは難しいものなのです。最善と思う手を打つしかないのですが、相手のちょっとしたミスに気づけるかどうかの嗅覚や瞬間がとても大切。 それが優れているのが勝つ棋士かもしれません」
(強調は引用者)
勝つ棋士の条件としてこれほど的確な指摘は他にないだろう。「嗅覚」という比喩は「理屈ではうまく言えない何か」を、上手く表現していると思う。それは一般的に「感性」と言われるものだが、「嗅覚」と言った方が身に沁みて理解できる。
- 自分がミスをしないこと。(守り)
- 相手のミスに気づくこと。(攻め)
世界最強を競っている韓国の李昌鎬と李セドルは、好対照な芸風だが、計算やヨセでミスをしない守備力と極微のミスを捉える嗅覚は共通している。李昌鎬が小さなリードを守るのに対して、李セドルは相手の小さなミスを攻める。
「問題点に気づく」という嗅覚は、相手を咎める時だけでなく、自分のミスを反省する場合にも重要である。