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hidew 2006.09.16

#1407 例の方法 - 出題者の心理を読む

島谷的舞録゛: ゆうこりん流択一問題の極意 を読んで、「例の方法」を思い出した。

jpg  byte 有坂誠人『例の方法』(1987, 学研)

「例の方法」とは出題者心理を逆手にとって、国語の選択問題などを簡単に解いてしまう方法である。一種のチーティング(インチキ)でもあるのだけど、筆者は「受験のお勉強 など要領よく片付けてしまって、自分の興味のある本当の勉強に時間をかけなさい」と説く。

以前、詰碁のところでも書いたとおり「何を問うか」が問題の本質の8割である。国語の入試問題においては選択肢まで示されているのだから、問題の9割以上が最初から解けているのだ。「設問に答えが書いてある」という「例の方法」は、実は非常に合理的な考え方である。

ちなみのこの本を amazon で調べると、マーケットプレースで 5000円に値上がりしている(定価780円) ネタとして最高に面白い受験参考書なので、今でも読んでみたいと思う人が多いのだろう。

そういえば、以前、野村監督が新庄選手にピッチャーの練習をやらせたことがあるが、あれは敵方の心理になってみると意外なことが見えてくるという好例だった。国語の授業でも「この文章を読んで、問題を作りなさい」ということをやればいいのに。

関連

jpg  byte 清水義範『国語入試問題必勝法』講談社

『例の方法』が受験参考書としても役立つのに対して、『国語入試問題必勝法』は、純粋にネタ(面白話)の要素が強い。

jpg  byte 平野 啓一郎 『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

hexagoban さんのご紹介。

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島谷 2006.09.16 [1]

テキストを読んで問題を作ってみていい問題だなぁと感じた問題は出題率が高いですね。
1行コメントに投稿して[Write]ボタンをクリックしたら空白の投稿フォームが出ました。
なんでだろ♪なんでだろ♪

hidew 2006.09.16 [2]

システムを改造中でご迷惑をおかけしました。

hexagoban 2006.09.16 [3]

国語の入試問題を読み解く方法については、『本の読み方-スロー・リーディングの実践-』(平野啓一郎)でも触れられています。著者は”本文と設問とを一続きの文章として読み”、”出題者が本文を引用しながら彼の主張を展開している”という視点で捉え直すことを提案しています。
問題の背後にいる出題者にフォーカスするという発想は、「例の方法」と似ていると思います。
二十数年ぶりに有坂先生の名を聞き、つい回想してしまいました。「早く、本当の学問を始めなさい」という言葉は印象的でした。

hidew 2006.09.17 [4]

ご紹介の本は図書館に置いてあるようなので読んでみようと思います。
hexagoban さんは有坂先生の講義を受けたことがあるのでしょうか。当時かなり人気のある講師だったみたいですが。

hexagoban 2006.09.17 [5]

代々木で『ICU入試対策ゼミ』という講義に参加していました。基本の英語に加えて、広範な一般教養と、多様な論文(人文科学、社会科学、自然科学)への対応力を試される国際基督教大学のユニークな入試に、古藤、木村と有坂の三先生だけで対策を立ててしまうという、今思えばクレージーなゼミでした。有坂先生は、講義の終わりに、「こんなの読んでおくといいねえ」と言いながら、各出版社の新書目録から200冊ぐらいタイトルを読み上げてくれて、「量は質に転化する」的な言葉を吐いていました。ちょっと調べたらこんなものがありました。 http://00kay.blog52.fc2.com/blog-date-200607.html  #4有坂誠人 記事はもちろん、コメントからもどんな先生だったのかがうかがえます。

hidew 2006.09.18 [6]

伝説の講師に直接師事したというのはすごい経験ですね。私は『例の方法』2冊を読んだだけの縁です。
「量は質に転化する」は私の座右の銘でもあります。詰碁も、棋譜並べも、英語学習も、読書も、最後は量で決まると思います。量をこなしていない人に限って、なぜか質にこだわるという傾向がありますが、そのことについては改めて。

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