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hidew 2008.10.09

#1729 こんにゃくゼリーは悪くない

jpg 16503 byte 野田聖子消費者行政担当相は目前の「風」も読めないような、近視眼的かつ短絡的な政治家だが、やはりと言うべきか、あまりにも本質、大局が見えていない。

“こんにゃくゼリーで男児死亡”受け、販売禁止要請を検討…野田聖子氏
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1179159.html

国籍不明の木っ端政党も、ここぞとばかりに声明を出している。

社民党OfficialWeb こんにゃくゼリーによる窒息死事故に関する緊急申し入れ
http://www5.sdp.or.jp/comment/2008/moushiire081001.htm

こんなことでいちいち政治が動くな。

「愚かな消費者が死なないように、危険な食材を販売禁止にする」という方針なら、まず「餅」の販売禁止が先だろう。「こんにゃくゼリー」だけでなく「こんにゃく」も禁止すべきだ。

そんなことは現実にはありえないわけで、「万が一にも事故が起こって危険だから禁止する」という方針がそもそも間違っている。

しかし、圧力に屈する形で製造中止が決まった。

こんにゃくゼリーほどの固形物も危険で、かつ、その危険性を消費者自身が判断できず、かつ、悪いのはメーカー、政府だと騒ぐなら、もう流動食だけを与えておけばいい。いや流動食さえも死ぬ恐れはあるから、点滴にするか。

危険な食べ物は他にいっぱいあるのに、「こんにゃくゼリー」だけが標的にされるのは、市場規模が小さいからである。結局、消費者庁の「仕事してます」アピール、あるいは社民党の「消費者の味方です」アピールのために、弱い者イジメをしているだけなのだろう。

Rauru Blog ≫ Blog Archive ≫ ダガーナイフ規制

しかし実際のところ実効性のある対策を打つことは極めて困難である。お上もそれはわかっている。わかってはいるが何もしないわけにいかない。下手な対策を打つと世の中にとって迷惑になる。そこで窮余の策として、「カタチは保ちつつも世間的にあまり悪影響の無い対策」を消去法で選び、実行することになる。
なんて馬鹿げた、と思うかもしれないが、お上だけが馬鹿なわけではない。このような行動パターンは民間企業でもごく普通に見られる。馬鹿な対策を打つ方も本音では馬鹿だとわかってはいるのだ。

ダガーナイフ規制は実効性がないかわりに害悪もない。ただ、根底にある「事故が起きる度に必ず犯人探しをして、規制しなければならない」という外罰的思考(なんでもかんでも他人のせい)が、全ての危険を排除するまで燻り続けるとしたら、今後は、害悪のある規制が次々に生まれることになる。

こんにゃくゼリーの論理破綻 - タケルンバ卿日記

本当はこういう事故が起きた時、何も叩かなくてもいいはずなんですよ。親。悪くない。製造者。悪くない。そういうケースもあっていい。

事故ってそういうものですよ。誰も悪くない。でも起きることがある。予想外のことがあるから事故なんです。そして事故があることをどこかに意識はしていても、その意識を超えて起きてしまう。それも事故ですよ。

子どもさんが亡くなった。それは非常に不幸なことですよ。でも、こういう不条理ってのは、いつ誰に起きるかわからんことでありまして。オレが食べ歩きの最中に、食べ物をノドにつまらせて死んだ。ありえますよ。あります。否定できません。

オシム風に言うなら

「野生のライオンがシマウマを喉につまらせて死にますか?」

そういうことはあるのかもしれないけど、誰も悪くない。ライオンが食事中に死ぬのも、シマウマが食われるのも、そういう現実があるだけだ。

「不運にも事故に遭って死んだ」ではなく、「幸運にも今日生きている」というのが動物本来のありかた。人間様、日本人様、お子様は偉くなりすぎて何かを勘違いしている。

http://gitanez.seesaa.net/article/107994095.html

武士とは、生き物として生きることを他人に任せてしまった人間たちである。現代の日本人ともっともよく似ているのが、彼らであろう

こんにゃくゼリーの警告文が読めない人のための新世界|Weep for me - ボクノタメニ泣イテクレ > 雑記

世界は危険に満ちている。なんといっても、電気やガスが危ない。感電死、中毒死、焼死…事故死の危険に満ち溢れている。電化製品やガスコンロを規制するとか、そういうレベルの問題じゃない。電気やガスの流通自体を規制すべきだ。ここまでくると、ぼくにはもう、何が危険で何が安全なのかよく分からない。何をどれだけ捨てればこの社会から危険を拭い去ることができるんだろう。過去に学び、危険を認識し、個々人がそれを回避すべく行動する。それができないという前提に立つ限り、危険の排除には際限がない。当然だけれど、マンナンライフを潰せばもう安心という話ではない。

何もない、ただ安全だけがある、素敵な世界へようこそ。

まとめの一文がとても印象的である。これで全てを言い尽くしている。

H-Yamaguchi.net: こんにゃくゼリーを「安全」にするいくつかの方法についての提案

(6)味を中に閉じ込める
表面には味がついていなくて、内部にだけ味がついているようにすれば、噛んで食べるようになるだろう。表面を硬くしておけば効果が増すはずだ。1回噛むだけで中身が流れ出てくるのではなく、よく噛まないと味が出てこないようにできればなおいい。要するに「つるんと飲み込むものではない」と思わせればいいわけだ。

消費者行政の専門家の皆さんは、消費者を赤ちゃん扱いするのが消費者行政ではないということをお忘れなきよう。本物の赤ちゃんは成長していくが、大人を赤ちゃん扱いしていると成長どころかむしろ退化していってしまう。これは食品偽装や毒物混入などとちがって、素人にも簡単に判断のできる問題のはずだ。この問題の本質はメーカー対消費者ではなく、愛好者対禁止論者という消費者同士の対立の構図にあるのだと思う。どちらか一方だけに犠牲を強いるのは好ましくない。

愚か者、うっかり者には際限なく下がいるので、何をやっても事故は起きるが、味を中に閉じこめるという案は商品として面白いと思った。

「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10 - GIGAZINE

消防調査では全部で432例あり、中身を大別すると以下のようになります。
もち:77例
ご飯(おにぎり含む):61例
パン:47例
あめ:22例
すし(食品成分表で分類できないのでその他扱い):22例
おかゆ:11例
だんご:8例
流動食(食品成分表で分類できないのでその他扱い):8例
カップ入りゼリー:8例
ゼリー:4例
しらたき:4例

次に、救命救急センターでは全部で371例あり、中身を大別すると以下のようになります。

もち:91例
パン:43例
ご飯(おにぎり含む):28例
すし(食品成分表で分類できないのでその他扱い):19例
だんご:15例
流動食(食品成分表で分類できないのでその他扱い):13例
おかゆ:11例
あめ:6例
カップ入りゼリー:3例

流れを追うのが面倒な人のための「こんにゃくゼリー製造中止問題」 - インターネットください
http://d.hatena.ne.jp/RPM/20081014/konnyaku

関連書籍

4901510185 無痛文明論

  • 森岡 正博
  • ¥ 3,990
  • トランスビュー
  • 2003/10/16

*

hidew 2008.10.11 [1]

蒟蒻畑が要るかどうかは市場が決める。

蒟蒻畑 危険度じゃないと思うのだよね - Chikirinの日記

蒟蒻畑が発売中止に追い込まれたのは「危ないからではなく、要らないからでしょ」と。

市場規模が小さくて、力が弱いところはいじめられる、というのは冷酷な現実だけど、それを政治が是認していいものだろうか。

裏を返すと、アメリカのライフルや、日本の煙草のように、「規制の理」があっても、業界の力が強いというだけで、何もできないということになる。

今回のような「なくてもいいでしょ」を認めてしまうと、盗聴や監視カメラなどに対して「あってもいいでしょ」という理屈も認めざるをえなくなる。些細なことであっても、筋違いの政治介入は全て NG だ。

蒟蒻畑が要るかどうかは政治が決めることではない、市場が決めることである。

自由主義視点でのこんにゃくゼリー論 - タケルンバ卿日記

これがなくなるような社会だと怖いんだよ。今度何がなくなるかわからん。歯止めが利かなくなるんだ。秩序がなくなるんだ。

同感。

『蒟蒻畑』が問題なのではない。法治の根幹(明白な基準、一貫性)に関わる問題である。

hidew 2008.10.15 [2]

公園の石で滑って転倒→約300万円の損害賠償訴訟

「公園の通路の滑りやすい石のせいで自転車が転倒し骨折した」…東京の女性が損害賠償を求め新潟県を提訴

魚沼市の奥只見レクレーション都市公園の通路に滑りやすい石が敷き詰めてあったため、自転車が転倒し、左ひじを骨折したとして、東京都練馬区の女性が公園を管理する県を相手取り、治療費など約300万円の損害賠償を求める訴訟を14日までに、新潟地裁に起こした。

自由と責任は表裏一体。

無責任で愚かな者はそもそも自転車に乗るべきではない。今回は他者を傷つけなかったことが幸いである。

hidew 2008.10.16 [3]

野田聖子議員の二重基準

野田氏がマルチ業界擁護の質問 「勉強不足」と釈明、96年

消費者保護に関し「消費者が賢明で強くならなければならない」「守ることだけがいい消費者(保護)活動ではない」と述べ、消費者の自主判断を重視する考えを示した。

蒟蒻畑も同じ基準で判断せよ。

しかし、マルチ商法の時にかぎって業界寄りなんて、どんだけー。

hidew 2008.10.22 [4]

野田聖子選挙区・浪速製菓の蒟蒻ゼリー

あまりにも分かりやすい人 続・妄想的日常

蒟蒻畑を撤去し野田聖子の地元から蒟蒻効果大量入荷
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/food/1224479831/

野田氏の選挙区の岐阜に本社を持つ浪速製菓というメーカーが、 マンナンライフの蒟蒻ゼリーにそっくりの製品を開発して、 シェア拡大を狙っていました。 浪速製菓の社長=野田氏に政治献金している会の相談役です。
その2ヶ月後に、野田氏は、マンナンライフの蒟蒻ゼリーだけをストップさせました。 これで、浪速製菓のシェア拡大は非常にやりやすくなりましたね。 本当に消費者のことを考えてのことならば、すべてのメーカーの類似商品を ストップさせるべきなのに、最大手のみをストップさせ、自分の選挙区のメーカーの 類似品はスルーって、あまりにも分かりやすい人です。

関連

野田聖子=蒟蒻効果=浪速製菓=マンナンライフ蒟蒻ゼリーSTOP I CAN'T TELL YOU WHY
http://2007blog2007.blog108.fc2.com/blog-entry-604.html

hidew 2009.03.19 [5]

誰のための規制か。

「薬の通信販売禁止」をごり押しする“既得権死守”勢力の隠された狙い|辻広雅文 プリズム+one|ダイヤモンド・オンライン

薬の安全は、誰によって守られるべきものか。自己の責任か、公の規制か――今、流れは大きく後者に傾きつつある。それはなぜだろうか。それによって得するのは、一体誰だろうか。

実は、改正薬事法の標的は、通信販売業者ではなく小売りの新規参入組であった。複数の関係者によれば、規制緩和に乗って多くの小売業者が薬販売に乗り出すことに、既存の薬局、薬店業界が危機感を抱いたのが発端であった。もっと言えば、「ドンキホーテなどの大型デイスカウント店が安売りのみならず、家庭へのデリバリーまで始め、それがコンビニに広がるに至って看過できなくなった」のである。

愚かな消費者によって、規制が増えれば、既得権者と行政を利するだけである。

消費者に自由と責任を。

きゃぶ 2010.03.11 [6]

製造物責任?

やや古い記事にノコノコと失礼します。

議論のレベルがとてつもなく高いのでペイペイが口を挟むのもはばかられますが、あまりにも興味深いトピックだったので恥を忍んで物申します。もともと、この「こんにゃくゼリー問題」、言いたいことが多くてウズウズしていました。

「○○が本来の意図とは違う使われ方をした(特に悪用された)場合、もとのデザイナーやメーカーは責任を負うべきか」。
答えは明らかなのですが、熟考に値する論題と思います。お題の「ゼリー」や「ナイフ」は問うまでもありません。

ノーベル賞の名のもとになったアルフレッドが実用化した「ダイナマイト」は(伝記を信じるならば)もともと、優れた工業製品として世のお役に立って万々歳!だったはずですが、現実には“非常に扱いやすい「戦争兵器」として大活躍”したために、彼には巨万の富が転がり込み、それがまたノーベル“平和賞”の基金になる、という実に皮肉なシロモノです。
この場合A・ノーベルは、“戦争共犯者責任”を問われるでしょうか。

逆のケースもあります。

かつて、大規模森林火災の時に上空からソッコーで駆けつけ、消火剤をピンポイントで命中させるために使われていたのは、それ以前に、第二次大戦中に空襲で焼夷弾をバラまいていた爆撃機(今は違うかな?)です。
また、2004年の新潟地震で、土砂に埋もれたクルマの中からただ一人救出された男の子(大勢が固唾を呑んでライブで見ましたね)を探り当てた「シリウス」という機材は、戦場で壁の向こう側に敵がいないかチェックするためにもよく使われる製品ですが、「殺」ではなく「救」のために活用されました。

これらの品物のメーカーは称賛されるべきか、糾弾されるべきか?

落ち着いて考えれば、ほとんどの人は正しい結論に達するはずだと思うのですが…。

hidew 2010.03.12 [7]

コインの裏表

製造物責任とは「不良品」(基準、仕様に合致しない製品)に対する責任を製造者が負うということです。ユーザーの「悪用」に対して製造物責任を問うのは言葉の用法として少し違和感があります。しいて言うなら「開発者」の「道義的」責任と言うことでしょうか。

光を強めれば、影も深くなります。「原子力発電」を開発すれば、その裏には「核兵器」がついて回ります。また、「核兵器」が「平和」をもたらしたという皮肉もあります。ノーベルのダイナマイトとよく似た例は枚挙に暇がありません。

物事は多面的に見ることが大切だと思います。

  • 自由の裏には責任がある。
  • 幸福の裏には不幸がある。
  • 便利の裏には不便がある。

片面だけを都合良く増進することはできないということですね。

落ち着いて考えれば、ほとんどの人は正しい結論に達するはずだと思うのですが…。

その考えは甘いと思います。蒟蒻ゼリーメーカーにクレームをつける人や野田聖子のような人物は落ち着いて考えても、正しい結論には達しません。「目の前に見えているものだけ」「自分のことだけ」をご都合主義的に考える人は少なからず存在します。

きゃぶ 2010.03.12 [8]

投了

……ありませんm(__)m (笑)。

きゃぶ 2010.05.14 [9]

こんにゃくぜりーと、湯沸器と

「企業のリスク、徹底管理を」(朝日社説、5/12)

いいですね、言うだけの人たちって。「パロマは事故報告を複数受けていたなら即、回収・修理に踏み切るべきだった」ですか。

リコール(?)やそれに伴う手間・費用がどれだけ膨大な金額になるか、分かった上で行っているのでしょうか。まして、自社製品には欠陥がなかったにもかかわらず、「改造される余地を残したのは問題」ですと?

身近な人を事故で亡くした人々には同情しますが、(以前にもどこかで書いた)「振り上げた拳」の降ろしドコロが思いっきりズレている…そんなやりきれない思いで聞いた判決ニュースでした。

ご意見を。

hidew 2010.05.15 [10]

製造者の責任、消費者の責任

同感です。パロマの件はこんにゃくゼリーと同じで製造者の責任を問うのは筋違いだと思います。

朝日の社説はよくある「定型文」で、内容的には何も言っていません。単なる「穴埋め」ですね。でも、記者の立場になれば、こういう文章を書かざるをえない事情も分かります。

asahi.com(朝日新聞社):社説 2010年5月12日(水)パロマ有罪―企業のリスク管理徹底を
http://www.asahi.com/paper/editorial20100512.html

「特殊な条件下で事故が起きる」という大騒ぎによって、製品価格の上昇、雇用の不安、使用の制限などを招いて、大局的に見れば、より大きな損をすることになります。

BK 2010.05.15 [11]

訴訟社会の前兆

同感です。
処罰されるべきは不正改造をした業者だと思いますが、欠陥商品を製造したわけでもないパロマがなぜ刑事責任を問われるのかわからない。

車を勝手に改造して、改造のせいで事故が起きたら車メーカーのトップが刑事罰を受けるなんてバカな話はないでしょう。
このような判決を出していたら、あらゆる製造業者は安心して販売などできないと思いました。

アメリカのような訴訟社会になりそうです。

タバコの吸い過ぎによる肺ガンで死んだ遺族がタバコ会社を訴えて 100億円 の賠償金を勝ち取る。
こんなムチャクチャな判決がアメリカではいっぱいらしい。

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