#1559 誤解学(1) 並立と対立の混同
【例1】「日本人で良かった」という選挙ポスター
「日本人で良かった」という選挙ポスターのコピーに対して、「韓国人や中国人やインド人やタイ人はダメなのか?」と反応した政治家の秘書。
【例2】 情報漏洩はリテラシーに問題がある
Winny関連の情報漏洩で「ユーザーのリテラシーに問題がある」という言明に対して、「Winnyは悪くないのか?」と反応したセキュリティ専門家。
一方が true ならば他方は必ず false である(シーソーのような)関係性を XOR(排他的論理和)というが、上の2つの事例は XOR ではなく OR(論理和)である。つまり、true,false だけでなく、true,true という組み合わせもありえる。
- 日本人でよかった。
- 韓国人/中国人/.. でよかった。
は両立することもある。
- リテラシーに問題がある。
- Winnyは悪い。
これも ture,true ということは考えられる。
並立しうる2つの事象を、対立するかのように思い込んでしまうのは、典型的な誤解のパターンである。これを逆用したのが下記のような例。
【例3】 国語の成績は悪かった
期末テストの成績が全般的に振るわなかったヒロミチ君は「国語の成績は悪かった」と弁明した。
この場合、「残りの教科の成績は悪くなかった」と解釈してくれる人が多いのではないか。
「大きな悪を隠すために、小さな悪を強調する」という手法はウソをつかないでごまかしたい時に便利だ。
書いてないものを読み、書いてあるものを読んでない