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hidew 2006.12.15

#1489 Winnyの罪と罰

Winny はいわば「情報の高速道路を暴走する車」である。

車の性能は極めて優秀。しかし、一番重要なブレーキの機能が(半ば意図的に)制限されている。そのような車を免許を持っていないような初心者が運転したら、事故が起こるのは当然である。

Winny は安全装置のはずれた欠陥品なのだ。ブレーキを実装しないで、配布してしまったのは開発者の過失と言わざるをえない。

Winny事件判決 (おおやにき)

「犯罪にしか使いようのないピストルを売れば間違いなく幇助になる。一方、包丁には合法的な用途も多いので、一定の確率で犯罪に使われるとしても、それを売ったというだけで幇助犯に問うのは適切でない。さて、Winnyはどちらか」

現在の Winny はピストルである。果てしなく「真っ黒な(使われ方をする)道具」と言っていい。私は著作権のグレーゾーンは維持すべきだと考えているが、Winny の黒さは許容限度を超えている。

作者を罰するのは現行法では筋が違う。しかし、これは「正しくない方法」で「正しい結果」を導くという一例なのではなかろうか。「正しい方法」にこだわって、Winnyの悪用だけを止めようとするのは、現実にはほとんど不可能である。また、警察権力に検閲の口実を与えたり、官僚に無駄遣いの口実を与えたり(#1390 ) 、ネット接続が免許制になったり、様々な弊害がある。

ここで Winny作者 を不問に付せば「違法でなければ何を作ってもいい/やってもいい」という風潮を助長することになってしまうだろう。(ソフト開発者に対して)一罰百戒の効果を狙った今回の判決は理解できる。

ただ、司法取引などで、罰を軽くするかわりに金子氏の技術を何らかの形で役に立てるという発想があってもいいと思う。bogusnews の傑作「#1181 行政ネットにWinny採用」は、お役所仕事を皮肉ると同時に、Winny の道具としての可能性も示唆している。

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元検弁護士のつぶやき: ウィニー開発者に罰金判決

懲役1年の求刑に対して罰金150万円の判決は、有罪判決としては求刑との対比においてかなり軽い判決です。
裁判所からの「この事件は起訴すべきだったかどうか再検討したほうがいいのではないか」という検察批判メッセージを読み取ることも不可能ではない感じの判決です。

http://www.asks.jp/users/hiro/16450.html

現在販売されている原動機付自転車は、リミッターという機械がついていて、60km/h以上の速度は出ないように作られています。
..
スピード違反に使われることが予見されるスポーツカーを作っても、自動車メーカーが違法性を問われることはないわけです

winny copyright 著作権

4756145485 Winnyの技術

  • 金子 勇
  • アスキー書籍編集部
  • 2520円

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