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hidew 2010.02.27

#1904 浅田真央の涙 - バンクーバー冬季五輪 女子フィギュアスケート

浅田真央が銀メダルで泣いていた。悔しくて泣いていたというところに人間的な深化を感じる。

以前の彼女なら、負けても「楽しかった」「次頑張る」という前向きなコメントを出していただろう。「世の中は楽しさに満ちている」ということを無邪気に信じているような女の子だった。

「楽しいから滑ってます」

長洲未来(アメリカ)がそんな感じだった。4年前の浅田真央がそうであったように失敗に対する恐れが全くない。見ている方もリラックスできる。良い意味で緊張感がないから、のびのびと滑って、ますます良い方向に行く。しかし、3位には「地元開催+母親の急死を乗り越えて出場」というロシェット(カナダ)がいた。諸事情により長洲未来には低めの点数が出た。それでも飛び上がって喜んでいた姿が印象的だ。

今回、浅田真央は目標に対して明らかに「失敗」だった。トリプルアクセルは2回とも(SPを合わせると3回も)成功させたが、しなくてもいいところでミスをしてしまった。「できるはずのことができなかった」というのが一番悔やまれる。

  • トリプルアクセルで派手に転ぶ。
  • 完璧に演技して点数が届かない。

このどちらかであったなら、もっと清々しい気持ちだったに違いない。

世の中には「必ず良いことを見つけて終わる」という、よく言えばポジティブ思考の、悪く言えば「おめでたい」人たちがたくさんいて、「銀メダルでも、おめでとうございます」とか「負けても(○○だから)良かった」とか言いたがるが、本当にそれでいいのか。それらの台詞は慰めているつもりで「銀メダルで良かった」「そんなに期待していなかった」という意味にとれてしまう。

「金メダル」「完璧な演技」を強く希求したがゆえの「涙」だったのだから、「残念」の一言に尽きるだろう。

*

hidew 2010.02.27 [1]

ハッピーエンド症候群

ハッピーエンド症候群 « Soul for Sale

「もう誰も不幸にさせない」、「みんなを幸せにする」という意志に貫かれている..

「負けても、よかった」と言わずにはいられない人たち、必ず良いことを見つけて終わる人たちはまさに『ハッピーエンド症候群』である。

きゃぶ 2010.03.01 [2]

ことばに詰まる

無粋なインタビュアーにマイクを突き出されても、即座に気の利いた返事をしなくてはならない…か?

マオちゃんに限らず、そうしなければならないと思い込んでいる日本人のなんと多いことか(一般人も)。
自分の本当に伝えたいこと(あるいは「言いたくない」という気持ち)を出せず、無難なコメントでその場を締めくくっても、印象には残りにくいですよね。そういう意味では――帰国後には袋ダタキに遭いそうだけど――スノボの国母くんは貴重な存在…(苦笑)。

貴花田に敗れて世代交代を思い知らされ、「…、以上です…」と切り上げた千代の富士。
完全引退時の記者会見で一分前後も声を出せなかったスワローズの古田敦也。

圧倒的に人々の記憶に残るのは「無言というコメント」であることも多い、と思います。

hidew 2010.03.02 [3]

無粋なインタビュー

無粋なインタビュアーにマイクを突き出されても、即座に気の利いた返事をしなくてはならない…か?

そうなんですね。無粋なインタビュアーが多いと思います。上からの命令で「何かコメントを取ってこい」と言われて、仕方なく出向いているから、「終わりました。どうでした?」と馬鹿みたいな質問しか出てこない。「話すことがない選手」と「聞くことがない記者」が形式的なやりとりをして、何の意味があるのか疑問に思います。

ただ、真央ちゃんへのインタビューはそういう不自然さが出る前に、彼女の方が先に抑えきれなくなった感じです。本当の気持ちが滲み出いて、珍しく聞く価値のあるインタビューでした。

圧倒的に人々の記憶に残るのは「無言というコメント」であることも多い、と思います。

同感です。音楽でも書道でも「無い部分」(無音、余白)が重要です。

スポーツ選手の表現は「言葉」ではありませんから、そもそもインタビューや会見は不要ですね。真央ちゃんが滑り終わった後、どういう気持ちだったか、表情を見れば分かりました。あえて言葉にする必要はありません。

帰国後には袋ダタキに遭いそうだけど――スノボの国母くんは貴重な存在…(苦笑)。

中田英寿やイチローが「多くを語らない」姿勢だったことは当然だと思っていました。国母くんも競技のことで突っ込まれて「ちっ、うるせーな」と言うのだったら分かります。

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