#238 汚れと記憶
本に書き込みをする行為には重要箇所のハイライトだけではなく、頭の中に残りやすい何か別の効用があるようです。
ここで、記憶というものを斜面に置いた荷物に例えてみます。摩擦力が大きいほど荷物はその場に留まりやすく、摩擦力が小さいと滑り落ちやすくなります。荷物が滑り落ちることはすなわち「忘却」を意味します。
本を汚すという行為は上記の「摩擦係数」を高めるために重要な役割を果たしていると考えられます。きれいな本はピカピカのガラス面、書き込みや珈琲のシミで汚れた本はザラザラのコンクリート面のようなもので、記憶を保持するためには後者の方が有利です。
勉強は本をどれだけ汚せるかの勝負 と言ってよいでしょう。
紙の辞書バンザーイ