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hidew 2010.01.03

#1884 ヨダログ「宗教の再発明」と「切腹の美学」

ヨダログ 精一杯生きよう。

.. この世で一番すごい「命」だけが循環しないことがあるだろうか?と考えた。 どう考えてもありえないと思った。
しかも、普段見過ごしてしまうようなことでも、よくよく考えると、 この世界を創った何者かのとてつもない好意を感じる。 とてもじゃないけど、「偶然」とか、「奇跡」ごときで創れるとは思えない。
この世界を創ったとてつもない力を持った「何者か」は間違いなく、「命」というものに対してとてつもない好意を僕は感じる。
だから僕は死ぬことが怖くなくなった。命は循環するからである。
ただしそれは、精一杯生きた後ならば、ということである。
自殺だけはいけない。死んだ後のことはどうなるか僕にはわからないが、 自殺をしたら、死んだ後に、どえらいお仕置きが待っているに違いないと僕は確信している。そういう意味で、自殺をする人に偉人などいないと僕は思っている。

図らずも宗教を再発明している。「創造主」「死後の世界」「輪廻転生」など既存の宗教と同じことに言及している。宗教の根源は「死の恐怖から解放される」という点にあり、依田プロも全く同じ方向を向いている。

世界で最も恵まれた国のひとつ、日本でなぜ自殺が多いのか?

ひとつには(鬱病などの)遺伝的要因があるが、「他人に迷惑をかけたくない」という日本人の精神性も大きな要因になっている。「潔さ」を重んじる文化的・社会的背景がある。

「人生は一局の碁なり」#838
「自殺=人生の投了」である。

途中で投げるのも一局なら、最後まで諦めず打ちきるのも一局である。にもかかわらず日本に於いては敗者に投了を迫る人が多い。だらだらと打ち続けることがルール違反であるかのように文句を言う人もいる。

  • 投了しろ(諦めろ)
  • 自殺するな。

日本社会にはこれらのメッセージが同時に存在している。個人的には後者の方に嘘があると思っている。

自殺だけはいけないという空疎なタテマエを死後、お仕置きが待っているという宗教的恫喝とともに唱えてみても、信仰のない人には全く響かない。空しい宗教を布教するのではなく、大切な人にだけ「私はあなたが生きていれば十分だ」と伝えればよい。もし仮に植物状態で入院費が ○万円/月かかっても、「それでも生きていてほしい」と。

シベリア抑留から生還した人、北朝鮮から脱出した人の口から「ネズミを生でかじりました」という話が語られることがある。「生きる」というのは究極的にはそういうことなんだろうと思う。

自殺を否定するにはそれなりの覚悟が必要である。

一体何をもって精一杯生きたと言えるのかもよく分からない。喫煙、暴飲暴食などは「緩慢な自殺」である。

豊かで平和な日本では「幸せを探す」「人生を楽しむ」なんてことを平然と口走ってしまう(*1 , *2 )マリー・アントワネットのようなおめでたい人がいる。それに比べれば「生きているだけで丸儲け」の依田プロは幸福観、死生観がしっかりしている。それはひとつの「悟りの境地」である。自殺だけはよくないという陳腐な建前を言ってほしくはなかった。

そういえば、以前、出雲屋さんが書いていた名言に感心したことがある。

出雲屋流:名言「悩みの大半は、自分が他人にどう見られているかだ」
http://blog.livedoor.jp/izumoyago/archives/51062951.html

これは日本人が抱える諸問題の核心だ。

日本人はとにかく他人のことを気にする。思いやりや責任感が強いという長所がある一方で、醜態をさらすくらいなら切腹するという美学が今でも生き続けている。

一見、脈絡のないことを書くが、小島よしおの一発ギャグ「そんなの関係ねぇ」や「何の意味もない」は深い。彼は単なる「子ども向けの一発屋芸人」ではないだろう。

関連

人々は何に行動を規制されるか。

  • 米国 : 神が見てる。
  • 韓国 : 家族や祖先が見てる。
  • 日本 : 世間が見てる。

「なぜ日本人は無神論者なのにマナー良いし犯罪少ないの?」…アメリカの掲示板で大激論
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1367901.html

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hidew 2010.01.04 [1]

『生きてることが辛いなら』 森山直太朗

B001B56J3A 生きてることが辛いなら [Single] [Maxi] 森山直太朗

生きてることが辛いなら いっそ小さく死ねばいい。
生きてることが辛いなら わめき散らして泣けばいい

何にもないとこから
何にもないとこへと
何にもなかったかのように
巡る生命だから

生きてることが辛いなら 嫌になるまで生きるがいい
生きてることが辛いなら くたばる喜びとっておけ


生きてることが辛いなら 森山直太朗 歌詞情報 - goo 音楽
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND68684/index.html

YouTube - 生きてることが辛いなら / 森山直太朗
http://www.youtube.com/watch?v=nDigr8mIwpQ

hidew 2010.01.05 [2]

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自殺するしかない人はそうすればよいのだ。死のうとしても死ねないときがあるように、生きようと努力してもそういかない場合もあるからである。だが、大河の一滴として自分を空想するようになったとき、私は何もわざわざ自分で死ぬことはないと自然に感じられるようになってきたのだ。


きゃぶ 2010.03.03 [3]

火事場ドロボーの有無を分けるのは…

( ↑ 日本人のマナー云々について)

 先日のチリ震災では「地震そのものの被害・死傷者よりも、量販店、果ては一般宅での略奪の方が大問題になっている。しかもごく普通の男女子供までが加わっている。秩序の維持に追われてレスキューどころではない」と読みました。想像はしてましたが。

阪神大震災の直後、運よく壊れなかったスーパーやコンビニで、買い物客が辛抱強く順番待ちの列を作っているのを見て、驚愕の眼差しを向けていた海外メディアが多かったそうです。もう15年以上前のことですが、仮に今この時点で大災害が起こったとしても、やはり似たような光景が出現するだろうなという確信のようなものを感じます。

過大評価も過小評価もしませんが、我々も胸を張れるところは張って、モノ申すだけの資格を自覚すべきかもしれません。

「言語的同一性」は大きな要因だと思いますが、それにしてもこの差はいったいどこから…?

hidew 2010.03.03 [4]

災害時の道徳

災害時の道徳は典型的な「囚人のジレンマ」の問題です。

自分\他人 (協調)順番待ち (裏切)強奪する
(協調)順番待ち ××
(裏切)強奪する ○○ ×

日本は左上、諸外国は右下。

日本で災害時に騒乱が起きないのは、いくつかの要因が奇跡的に重なっているのだと思います。

  • 宗教、言語、教育の均質性
  • 農耕文化、村社会
  • 世界有数の豊かさ

いずれの要素も失われつつあるので、日本もやがて悪い意味で「普通の国」になっていくような気がします。すでに、自分のことしか考えない自己愛人間が増えてきている兆候はあります。

きゃぶ 2010.03.03 [5]

聞き覚えが…

あ、「囚人のジレンマ」、どっかで聞いたことがあるような気がします。

また別の機会にでも、詳しい解説を加えた記事をお願いします(仕事でのお客さんたちと何度も話題になっているので、とても関心があるんです)。

※ここ、トピックのレベルが高ーいですね(^^;)

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