#1718 映画『ターミナル』
ターミナル(公式サイト)
http://www.terminal-movie.jp/
- DTSスペシャル・エディション
- 出演: トム・ハンクス, キャサリン・ゼタ=ジョーンズ, スタンリー・トゥッチ
- 監督: スティーブン・スピルバーグ
- 2005/04/28
- 129分
東欧のクラコウジア(本作のために設定された架空の国)からニューヨークを訪れた旅行者ビクターが、母国の突然のクーデターにより“無国籍”状態になってしまう。アメリカへの入国許可が下りないまま、彼は空港のターミナルで9ヶ月間も過ごすことに…。
ほのぼのとした気持ちになるヒューマンドラマの名作である。トム・ハンクス演じるビクターは少し間抜けなキャラクタで、一見するとコメディのようであるが、思いのほか深いテーマを内包している。
- 国家とは何か?
- 人生とは何か?
- 規則とは何か?
日本では、生まれてから死ぬまで、祖国が存在することは当たり前、まるで空気のように国家が存在している。「突然、国籍を失って、空港から出られなくなる」という設定は荒唐無稽に感じられるかもしれないが、世界に目を向けてみれば、国家というのは曖昧で脆弱なものだ。
グルジア Georgia がロシアに侵攻された時、一瞬この「クラコウジア Krakozhia 」という国名が頭をよぎった。日本読みした時の語感が似ている上に、オリンピックに出場していたグルジア人の置かれた状況(祖国における突然の戦乱をテレビで見守るしかない)も似ている。
ビクターが空港で生活する様子を見て、『海の上のピアニスト 』を思い出した。『海の上..』は生涯を船上で過ごすという極端な話であるが、「与えられた世界の中で淡々と生きる」という恬淡な人生観が共通している。
日本やアメリカに生まれると世界中のほとんど全ての物、情報が手に入り、世界中の全ての場所に行くことができそうな気になる。万能感に包まれた日本人が『ターミナル』や『海の上のピアニスト』を見ると、悲劇だ、不自由だ、かわいそうだ、というネガティブな感想を持つ傾向がある。果たして本当にそうなのか。
本作のメインテーマは
- 閉じた空間で、楽観的に生きる
- 与えられたものだけで満足する
ということであろう。現在の日本は「世界中の富をかき集めて、なお悲観的に生きる」という『ターミナル』とは全く逆の方向に走っているが、近い将来、資源と食糧の輸入が止まった時、『ターミナル』が提示する人生観は何かのヒントになるような気がする。
トリビア
主人公ビクター(トム・ハンクス)のセリフ(架空のクラコウジア語?)が日本語で「そりゃ、納得いかんのう」と聞こえる場面がある。単なる空耳アワーではなくて、状況にもピッタリ合っていたために、本当に日本語でそれを言ったんじゃないかと思われるほどだった。
ネタ元:『トリビアの泉』(フジ系列)
関連
『ターミナル』(The Terminal)は2004年にアメリカで製作された映画。 スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス出演。上映時間129分。
空港ターミナルに閉じ込められてしまった男と、ターミナル内の従業員との交流と恋模様を描いたコメディである。
(クラコウジア連邦の)おおよその位置は、旧ソ連・ロシア付近で過去にクーデターが勃発していた中央アジア諸国、コーカサス地方の諸国のロシア語圏の国がヒントと思われる。また、主人公のパスポートがベラルーシのものと酷似しているという意見もある。
撮影に使われた空港は本物ではなくセット。これはテロへの警戒で本物の空港での撮影許可が下りなかったため。舞台となったのはJFK国際空港だが、建設に 20週間を費やしたカリフォルニアの巨大格納庫に作られたセットは、数箇所の国際空港を融合させたものとなっている。セット内にある店舗は全て実在するものであり、マクドナルドや日本の吉野家等を始め35店舗が参加。エキストラには実際にその店舗で行われる研修を行わせた。本物の店員が出演した店舗もある。
セットの件は映画を観た後で知った。言われないと気づかない。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones, 1969年9月25日 - )は、ウェールズ出身のアメリカ合衆国で活躍する女優。
髪の色が黒くて、アジア人から見て美しいと感じる女優だと思う。