#1708 『ザ・イロモネア』のダメな理由
TBS のザ・イロモネア
はランダムに選ばれた5人の観客が笑うかどうかを判定基準に、お題をクリアしていき、最終的に 100万円の賞金を獲得する番組である。
5つのお題
- 一発ギャグ
- モノマネ
- ショートコント
- モノボケ
- サイレント
システムに工夫を凝らしたつもりだろうが、はっきり言って面白くない。
まず、芸人の特性を全く無視している点がダメだ。漫才師がモノマネやサイレントという不慣れな分野に挑戦すれば面白くないのは当たり前である。意外性を出すなら芸人を入れ替えたり、コラボするなど他の番組でやっているような手法の方がいい。
芸人も芸人だ。事前にお題が明らかになっているのに何も準備していない。技量がなくて準備できないのなら、出演を断ればいいのに、安請け合いして、醜態を晒してしまう。仕事を断れない状況にあるとすれば残酷な話だ。
次に問題なのは、観客が笑うかどうかを「面白さ」の評価基準にしている点である。馬鹿笑いにだけ価値があるという「お笑い観」はあまりに軽薄である。この判定だと苦笑でも失笑でも笑わせればいいことになってしまい、芸は関係なく、クリアしてしまうこともある。
公平・公正を装っている電子ルーレットもうさんくさい。テレビ局の性格からすれば、やりたい放題にヤラセていることだろう。判定が不公正だと興醒めだ。というより、公正さを装っている点が興醒めだ。そもそもお笑いに公正な判定などありえないのだから、特定個人が恣意的に判定し、それをまたネタにする開き直りがほしい。笑点、ケータイ大喜利、レッドカーペットはうまくやっていると思う。
最大の問題は、クリアした瞬間にネタが打ち切りになる点と、ネタが終わっても時間を埋めなければいけない点だ。後者はともかく、前者はあまりに奇妙である。面白そうなのに打ち切り、一番面白いところ(オチ)をわざわざカット、一体何を考えているのだろうか。
関連
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芸人があたふたしてるだけで、「笑い」と呼べる域に達していないものが多い。ウンナンもおとなしくて元気がないし、いま一番面白くないお笑い番組なんじゃないか。なんだかなあ、という感じだ。
仕掛けを多くしてるつもりなんだろうけど、それが返って番組をつまらなくしている。
ウンナン司会の…… こんなのいらないね: 横澤彪のチャンネルGメン69 :J-CAST テレビウォッチ
作り手の側は芸人の尊厳を意識する必要がある。モノマネならモノマネ、コントならコントを磨いている芸人を何だと思ってるんだと腹立たしくなる。「得意」でない未熟な芸を披露させ、それを笑おうなんて「芸」に対する侮辱だ。
横澤彪氏の意見に同感。
コメント欄を見たらネットイナゴがいっぱいいた。
- ウンナンが嫌いなんでしょ。
- 他にもつまらない番組あるよ。
- 吉本(ひょうきん族、レッドカーペット)はどうなんだ。
- こんな記事で給料貰って恥ずかしくないのか
- てめぇの物差しで計ってんじゃねぇ
- 嫌なら見なきゃいいし、出なきゃいい。
- 何もわかってないくせにえらそうに言うな
- 貴方にコラムを書く資格なんかありません。
- 評判良かったからレギュラー昇格したのに何でいまさら批判なのか。
- こんなじじいに「今」の笑いをどこまでわかってるのかに疑問があるよ。
この番組を全面的に支持しているらしい人たちだから、こんなものか。
- 意見ではなく人格を攻撃する幼稚な罵倒。
- 自分のことは棚に上げ、批判者のことは言いたい放題。
- 「評判が良いのに批判?」という噴飯ものの理屈。
- 「他番組もつまらない」という「みんなバカ」
- 「何もわかってないくせに」という「全てを分かっている愚者」
ref. #1500 匿名批判者の習性
「イロモネア」審査員が笑わない理由
「イロモネア」審査員が笑わない理由 - はてなでテレビの土踏まず
http://d.hatena.ne.jp/tvhumazu/20091226/p1