Amazon オススメ商品

hidew 2008.06.25

#1673 小沢一郎 VS 前原誠司 + 小泉純一郎

政治家の姿勢で大事なことは、とりあえず2点ある。

  • 大局を見る。
  • 筋を通す。(囲碁でいうサカレ形を作らない)

png 23901 byte 民主党・副代表の前原誠司氏は大局を見て、だいたい筋の通ったことを言う。政策の善悪は議論の余地があるかもしれないが、議論をするためにも筋を通すことがまず重要である。

小泉政権の初期、内閣支持率が80% を超えていることについて、小泉氏は「高すぎるね。支持率は 50%くらいがちょうどいい」と言っていた。この一言に、類いまれな政治センス、勝負センスが表れている。

囲碁を打つとき、50:50 を目指すという意識は、とても重要である。面白いのは「勝とうとするほど負ける」という点だ。逆に「負けてもいい、というつもりで打つとなかなか負けない」(#221 )ということも言える。最終的に「勝ちたければ、勝とうとしてはいけない」というパラドックスに行き着く。

民主党・小沢代表の趣味は囲碁である。前に企画された与謝野馨VS小沢一郎という対局では、きれいな打ち筋で与謝野氏に勝っていた。(#1606 ) しかし、本業の政治では「拙速に政権を獲りにいく」という、一番「負けやすい」戦略をとっている。

そうした中で、小沢氏と距離を置きつつ、民主党内で不利な立場になることを承知しながら、「言うべきことは言う」という姿勢を貫いているのが前原氏である。これは往年の小泉氏の姿と重なる。

J-CASTニュース : 自民寄り、小沢批判の前原副代表「離党しろ」と民主議員がメール

「前原誠司副代表の妄言を糾弾し、その『退場』を勧告する」と題されたメールを民主党の国会議員全員に配信したのは、同党の「ネクスト農水担当相」筒井信隆氏、篠原孝氏、山田正彦氏の3氏。勧告の直接の引き金になったのは月刊誌「中央公論」08年7月号に掲載された「自民と民主は本当に違うのか」という座談会。

自民党寄りという批判は前からあった。07年8月22日には自民党の中谷元・元防衛庁長官と東京・有楽町の外国特派員協会で安全保障問題について共同記者会見をした時のこと。
.. 前原氏は、「中谷さんは尊敬する好きな政治家」などと発言。民主党議員の中から前原副代表のスタンスを訝る声が出ていた。

他者(自民党議員)を評価し、自己(民主党議員)を批判することの一体何がいけないのだろうか。

「他党の言うことは全て間違っている」「所属する政党(官庁)のためなら政策を曲げてもいい」という倒錯した政治家が多い中で、政策本位の政治家は貴重な存在である。

もう民主党は分裂したほうがいい - 池田信夫 blog

もともと小沢一郎氏や旧社民党の大衆迎合路線と、前原氏などの自由主義路線は、思想的には対極に位置するものだ。日本の政治の最大の欠陥は、与野党の対立軸がはっきりせず、政局的な機会主義で政策が決まることだ。この際、前原氏が民主党を離れ、小泉元首相や小池百合子氏などと一緒に新党をつくれば、意外に多くのまともな政治家がついてくるのではないか。

前原氏と小泉氏は、政策的にも共鳴するところが多いのだから、是非、一緒に新党をつくってほしいと思う。

そういえば、愛煙家なのに「たばこ1箱1000円」を推進する中川秀直 元幹事長も地味だけど見事な「大局観」を示した。国会議員ならば自分の損得と国家の損得は切り離して考えるべきである。まともな政治家の一人としてつけ加えたい。

関連記事

*