#1663 「たばこ1箱1000円」の議連に期待する
増え続ける医療費に対応するために、政府は「後期高齢者保険」や「メタボリック検診義務化」などの施策を捻り出したが、どれも筋が悪い。「100年安心の年金改革」と同じく、先を見ているようで見ていないから、何回も抜本的改革を行う羽目に陥る。
医療、年金などの社会保障は消費税を「福祉目的税」にして、税率で数字合わせをするのがシンプルで、持続可能な制度である。
ただし、消費税は弱者に優しくないという側面がある。生活必需品の税率を下げて、贅沢品の税率を上げれば弱者は保護されるが、何をもって必需品と贅沢品を分けるかという基準が難しい。牛肉やチョコレートは、日本において 贅沢品だろうか。ガソリンは必需品と贅沢品の二面性があって分類できない。さらにガソリン税は景気に対する影響が甚大である。
複雑な制度は、議論のコスト、徴税のコストなどを上昇させるだけで、お為ごかしの政治家や厄人を喜ばせるだけであろう。
制度が複雑にならず、景気に対する影響もなく、税収を増やしつつ、国民の健康増進になる(将来の医療費削減になる)いう一石二鳥の施策がひとつある。
合言葉は「たばこ1箱1000円」…超党派で議連発足(読売新聞) - Yahoo!ニュース
合言葉は「たばこ1箱1000円」…超党派で議連発足
自民、民主両党など超党派の国会議員が近く、たばこ税の引き上げを目指した議員連盟を発足させる。自民党の中川秀直・元幹事長らが呼びかけている。
議連は「たばこ1箱1000円」をキャッチフレーズに活動を始める予定だ。
中川氏自身はヘビースモーカーだが、たばこ税増税を消費税増税の回避策として考えている。中川氏は福田首相にもたばこ税の増税を進言し、首相も前向きな考えを示しているという。
民間の生保やシンクタンクは「たばこ1箱1000円」にしても、税収は下がるどころか、むしろ上がるという試算を2、3年前に出している。
この政策の良いところは、もし仮に、たばこ税の値上げと禁煙の関係を読み違えて、税収が減っても、医療費が減る分で相殺されるため失敗にならないことだ。火災が減る、街がきれいになる、ご飯が美味しくなるなど数字には表れないメリットもある。
#(一応、公平のために言っておくと、ニコチン依存症の人が生産性を落とすというデメリットもある。)
どう転んでも、大失敗ということはないのだから、とりあえず 100円ずつでも試してみればいいが、たばこ税は今まで10円上げるのに大騒ぎするような聖域だった。理由として考えられるのは3点である。
- たばこ産業と厚生官僚、厚生族の癒着
- 与党の有力者がヘビースモーカー
- 国民の半数近くが喫煙者
自分が損する「たばこ税の値上げ」は避けたい、というのが喫煙政治家の本音だろう。情けない話だ。
議連が動き出したことで、「たばこ1箱1000円」の政策に少し希望が見えてきた。とくにヘビースモーカーでありながら議連を牽引する中川秀直・元自民党幹事長には期待したい。
「たばこ1箱1000円」が実現した暁には、未成年者の喫煙規制(taspo)も撤廃する。未成年者の喫煙は親が金を出すのだから、喫煙の可否は家庭で決めればいい。国家の視点で見れば、命を削って多額の税金を納めてくれる世帯は「お客様」である。喫煙で早死にすれば年金財政もプラスになる。