#1641 囲碁棋書オールタイムベストテン
シリーズ名でなく、1冊単位での投票を奨励
このルール、気になっていたんだけど、 だす さんも、出雲屋 さんも気にしていないようだ。というわけで、私も気にせずシリーズ単位でノミネート。
ベストテン
- 瀬越憲作『手筋事典《上・中・下》』(誠文堂新光社)
- 石榑郁郎『石榑郁郎詰碁傑作選』(1996, 三一書房)
- 瀬越憲作『詰碁辞典』
- 坂田栄男『碁と根性 勝つ』(1965)
- 加藤正夫『死活小辞典』(1984, 誠文堂新光社)
- 李昌鎬『李昌鎬の中盤戦略《1,2,3》』(2003, 棋苑図書)
- 江崎誠致『碁悦同衆』(1994, 立風書房)
- 趙治勲『だから勝つのだ』(1985, KKロングセラーズ)
- 大竹英雄『大竹英雄の新囲碁十訣』(1984, ダイヤモンド社)
- 横内猛『囲碁が10倍面白くなる本』(2000, 誠文堂新光社)
(6位以下、順不同)
「中盤」を重視している。
上記に共通する名著の条件は「(内容の)純度の高さ」である。
- 本のテーマは鮮明なほど良い。
- 説明は簡潔なほど良い。
#読者に媚びたり、付録(実戦死活)をつけたり、という本は「雑誌」として消費してしまうので、後年の評価の対象にはならない。
瀬越憲作『手筋事典 《上・中・下》』(誠文堂新光社)
全1000図、実戦手筋の集大成。気が遠くなるほどの年月と労力を費やして編集された。玄玄碁経や碁経衆妙に比肩する歴史的名著である。
石榑郁郎『石榑郁郎詰碁傑作選 』(1996, 三一書房)
自然な実戦形の中に小粋な手筋を作りこんでいるのは見事。「パズル」であり「実用」でもあるという万人向けの詰碁集である。全体的に粒が揃っている。難易度の幅は 5d-5k くらいで「難しすぎる/簡単すぎる問題」「捨て問題」がない。図の大きさもきれいに揃っている。
瀬越憲作『詰碁辞典』
全1000図、実戦死活の集大成。本の厚みが1cmくらいしかない。囲碁史上「最高密度」の棋書である。答えが漢数字で将棋の棋譜のようにして書いてあるために、答え合わせには苦労するが、そんなの問題ではない。「答えを見ているようではダメ」という暗黙のメッセージであろう。
坂田栄男『碁と根性 勝つ 』(1965)
坂田栄男の辞書に「建前」という言葉はない。要約すると「そこに碁があるから打つだけ。芸とか道とかゴチャゴチャ言ってないで、とにかく勝てばいいんだよ」となる。
加藤正夫『死活小辞典 』(1984, 誠文堂新光社)
学生時代に「死活選手権」と称して、問題の出し合いをした。書き込みと手垢で真っ黒になった。私が「読み潰した」と言える唯一の棋書である。この本を見ると「紙媒体の本を汚しながら読むこと」に特別な作用があることを思い出す。(#238
汚れと記憶)
[類] 趙治勲『死活小事典』(日本棋院)
李昌鎬『李昌鎬の中盤戦略 《1,2,3》』(2003, 棋苑図書)
世界最強・李昌鎬が自選譜を解説している。「神算」「石仏」とも言われ、静かに計算で打つイメージがあるが、実は、過激でえげつない手も連発している。解説の表現が独特で面白い。
[類] 『坂田の碁』『炎の勝負師』
江崎誠致『碁悦同衆 』(1994, 立風書房)
江崎誠致の文章は洗練されている。作家にありがちなややこしいレトリックを使わず、淡々と簡潔に書いている。囲碁随想として面白いだけでなく、囲碁ブログの文章のお手本にもなる。
[関] 『昭和の碁』
趙治勲『だから勝つのだ 』(1985, KKロングセラーズ)
趙治勲は坂田栄男の芸風を継承した「勝負師タイプ」の棋士。やはり技術面より精神面を重視している。
大竹英雄『大竹英雄の新囲碁十訣 』(1984, ダイヤモンド社)
「厚みは作って置いておくだけで、威嚇になる」「地模様は自由に侵入させ、その間に自分は他の大場を打てばよい」という指摘に目から鱗が落ちた。「地を囲わせてあげると相手はそれを守ることが負担になる」というのも面白い考え方。最近では、苑田勇一が同様の皮肉な表現を多用している。
横内猛『囲碁が10倍面白くなる本 』(2000, 誠文堂新光社)
- 陣取り合戦 → 石の生存競争。
- 地を囲う → 石を囲う。
左は碁の日本的理解、右は中国的理解。日本の級位者は思考の軸を「地の大小」から「石の強弱」に転換するだけで2子くらい強くなるんじゃないかと思う。

さすがはhideさん、いい本を挙げてるネエ。「手筋辞典」は確かにすばらしい名作だ。わしも愛読してます。坂田の「碁と根性 勝つ」
を推薦するとは凄いね。あれは隠れた名著だよ。「碁悦同衆」もしかり。この本を上げてくるとは目のつけどころが違うネエ。今日は
とても参考にさせてもらいました。ちなみに、わしはこの企画のルールをあんまり読んでなかった(笑)。シリーズってダメなのね。