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hidew 2008.03.09

#1641 囲碁棋書オールタイムベストテン

「囲碁棋書オールタイムベストテン」投票募集

シリーズ名でなく、1冊単位での投票を奨励

このルール、気になっていたんだけど、 だす さんも、出雲屋 さんも気にしていないようだ。というわけで、私も気にせずシリーズ単位でノミネート。

ベストテン

  1. 瀬越憲作『手筋事典《上・中・下》』(誠文堂新光社)
  2. 石榑郁郎『石榑郁郎詰碁傑作選』(1996, 三一書房)
  3. 瀬越憲作『詰碁辞典』
  4. 坂田栄男『碁と根性 勝つ』(1965)
  5. 加藤正夫『死活小辞典』(1984, 誠文堂新光社)
  6. 李昌鎬『李昌鎬の中盤戦略《1,2,3》』(2003, 棋苑図書)
  7. 江崎誠致『碁悦同衆』(1994, 立風書房)
  8. 趙治勲『だから勝つのだ』(1985, KKロングセラーズ)
  9. 大竹英雄『大竹英雄の新囲碁十訣』(1984, ダイヤモンド社)
  10. 横内猛『囲碁が10倍面白くなる本』(2000, 誠文堂新光社)

(6位以下、順不同)

「中盤」を重視している。

上記に共通する名著の条件は「(内容の)純度の高さ」である。

  • 本のテーマは鮮明なほど良い。
  • 説明は簡潔なほど良い。

#読者に媚びたり、付録(実戦死活)をつけたり、という本は「雑誌」として消費してしまうので、後年の評価の対象にはならない。

瀬越憲作『手筋事典 《上・中・下》』(誠文堂新光社)

全1000図、実戦手筋の集大成。気が遠くなるほどの年月と労力を費やして編集された。玄玄碁経や碁経衆妙に比肩する歴史的名著である。

石榑郁郎『石榑郁郎詰碁傑作選 』(1996, 三一書房)

自然な実戦形の中に小粋な手筋を作りこんでいるのは見事。「パズル」であり「実用」でもあるという万人向けの詰碁集である。全体的に粒が揃っている。難易度の幅は 5d-5k くらいで「難しすぎる/簡単すぎる問題」「捨て問題」がない。図の大きさもきれいに揃っている。

瀬越憲作『詰碁辞典』

全1000図、実戦死活の集大成。本の厚みが1cmくらいしかない。囲碁史上「最高密度」の棋書である。答えが漢数字で将棋の棋譜のようにして書いてあるために、答え合わせには苦労するが、そんなの問題ではない。「答えを見ているようではダメ」という暗黙のメッセージであろう。

坂田栄男『碁と根性 勝つ 』(1965)

坂田栄男の辞書に「建前」という言葉はない。要約すると「そこに碁があるから打つだけ。芸とか道とかゴチャゴチャ言ってないで、とにかく勝てばいいんだよ」となる。

加藤正夫『死活小辞典 』(1984, 誠文堂新光社)

学生時代に「死活選手権」と称して、問題の出し合いをした。書き込みと手垢で真っ黒になった。私が「読み潰した」と言える唯一の棋書である。この本を見ると「紙媒体の本を汚しながら読むこと」に特別な作用があることを思い出す。(#238 汚れと記憶)
[類] 趙治勲『死活小事典』(日本棋院)

李昌鎬『李昌鎬の中盤戦略 《1,2,3》』(2003, 棋苑図書)

世界最強・李昌鎬が自選譜を解説している。「神算」「石仏」とも言われ、静かに計算で打つイメージがあるが、実は、過激でえげつない手も連発している。解説の表現が独特で面白い。
[類] 『坂田の碁』『炎の勝負師』

江崎誠致『碁悦同衆 』(1994, 立風書房)

江崎誠致の文章は洗練されている。作家にありがちなややこしいレトリックを使わず、淡々と簡潔に書いている。囲碁随想として面白いだけでなく、囲碁ブログの文章のお手本にもなる。
[関] 『昭和の碁』

趙治勲『だから勝つのだ 』(1985, KKロングセラーズ)

趙治勲は坂田栄男の芸風を継承した「勝負師タイプ」の棋士。やはり技術面より精神面を重視している。

大竹英雄『大竹英雄の新囲碁十訣 』(1984, ダイヤモンド社)

「厚みは作って置いておくだけで、威嚇になる」「地模様は自由に侵入させ、その間に自分は他の大場を打てばよい」という指摘に目から鱗が落ちた。「地を囲わせてあげると相手はそれを守ることが負担になる」というのも面白い考え方。最近では、苑田勇一が同様の皮肉な表現を多用している。

横内猛『囲碁が10倍面白くなる本 』(2000, 誠文堂新光社)

級位者と有段者の溝に橋渡しをする「極意」が書いてある。

  • 陣取り合戦 → 石の生存競争。
  • 地を囲う → 石を囲う。

左は碁の日本的理解、右は中国的理解。日本の級位者は思考の軸を「地の大小」から「石の強弱」に転換するだけで2子くらい強くなるんじゃないかと思う。

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*

出雲屋 2008.03.09 [1]

さすがはhideさん、いい本を挙げてるネエ。「手筋辞典」は確かにすばらしい名作だ。わしも愛読してます。坂田の「碁と根性 勝つ」
を推薦するとは凄いね。あれは隠れた名著だよ。「碁悦同衆」もしかり。この本を上げてくるとは目のつけどころが違うネエ。今日は
とても参考にさせてもらいました。ちなみに、わしはこの企画のルールをあんまり読んでなかった(笑)。シリーズってダメなのね。

hidew 2008.03.12 [2]

「坂田系」

棋書の好みにはたぶん「坂田系」というものがあって、ベスト10の中に一冊でも坂田本を入れる人は、好みの傾向が似ている。坂田本はいわば「激辛とうがらし味」みたいなもの。

私のチョイスは出雲屋さんと表裏一体だと思う。「碁悦同衆」は出雲屋さんとhexagobanさんが「昭和の碁」を挙げていたから、あえて裏へ行った意味もある。

hidew 2009.07.02 [3]

瀬越憲作「手筋事典」 - 入手困難注意報

手筋事典 - 囲碁日記:明日への一打

「方円書庫」に「手筋事典(上巻・中巻・下巻)」が紹介されているのをみて、やっぱり手筋も勉強しないといけないなあと思ったのだが、既に上巻と中巻は本屋さんでは手に入らない状態になっているらしいことに気付き、しまったと思った。
上巻だけは持っていたのだが、他の巻は、時間的・金銭的・気持ち的に余裕ができたら購入しようと思っていた。
ところが主な書店の在庫をネットで確認しても注文不可になっている。
誠文堂新光社のHPをみても、上巻と中巻は在庫なしと表示されていた。
いつか買おうと思っていて、新刊では手に入らなくなったことが過去にもあったが、また起きてしまった。

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