#1571 感動して鳥肌が立つ?
ここ数年、
(感動して)「鳥肌が立った」
という表現が流行っている。
そりゃ、どう思った?って聞いたら「リアルだ」「感動した」って言うよな。子どもだもん。
子どもはまず「リアル」という言葉の意味を知らない。「リアル」の元になる現実的な経験をしてない。
.. そして「感動」という言葉の意味を知らない。現実に「感動」などしたことがない。
.. 彼らはこういう「いい話」を読んだ、という気分に「感動」と名づけているに過ぎない。
子どもに限らず、無理矢理言葉を紡ぎ出そうとして、陳腐なことを言ってしまうことはよくある。感動を言葉にするのは簡単なことではないのだ。
最初に「鳥肌が立つ」と言った人はゾクッとした感動を比喩的に表現することで、特殊効果を狙ったのだろう。しかし、最近では「特殊効果」「誤用」という意識さえ希薄になっている。
「感動した」という文脈での「鳥肌が立つ」は、今とななっては洒落た表現などではなくて、むしろ、軽薄で、陳腐な印象が漂ってはいないだろうか。
「鳥肌が立った」などと言っている人が本当に感動しているのかどうか怪しいものだ。
参考
寒さや恐ろしさ、あるいは不快感などのために、皮膚の毛穴が縮まって、鳥の毛をむしったあとのようにぶつぶつが出る現象。総毛立つこと。体温調節反射の一つ。
「―が立つ」
「鳥肌が立つ」のは、交感神経系が強く働いた時に立毛筋が収縮しておこる現象です。寒いときや怖いときだけでなく、気持ちが興奮したり緊張したりした場合も交感神経系がよく働くので、生物学的には極度の感動で「鳥肌が立つ」可能性はあります。「感動した」という意味で「鳥肌がたった」と聞いたら、私だったら「恐ろしい感動」をしたのだと思ってしまいます。なお、「怒髪天を突く」と言う言葉も同じしくみによる言葉ですね。