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hidew 2005.01.17

#153 黒番必勝のはずがない!

この本のサブタイトルに「黒番必勝の布石」と書いてあります。いかにもシロートさんが食い付きそうな魅惑的なキャッチコピーではないですか。

でも、碁の世界で「必勝」などということはありえません。

数学的にも哲学的にも宗教的にも、碁は「引き分け」になるのが正しい結末であって「相手が間違えるから自分が勝つ」というだけのことです。(「不敗」なら原理的にはありえる) 勝敗が問題になるのは、非常に低いレベルの話です。つまり人間同士が碁を打つから、勝敗という面白い要素が生まれるのです。

碁は「自らが数学的正しさを追求する」のと同時に 「どう打ったら相手が譲歩するか/間違えるか」という交渉術や心理学を駆使するゲーム なのです。韓国棋院の本で「上手のワナ」4873651883 とか「ごまかし手事典」4873651891 というタイトルがついているのはそのあたりの事情を熟知していると言えます。

さて、最も宗教色の強い棋書である『囲碁新手法』で「黒番必勝」を謳うことのインチキがお分かりいただけたでしょうか。宗教書が「必勝」などと言ってはいけません。

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