#1496 フィンランド・メソッド - 国語力の鍛錬
国語の授業は一般的に、古典的名著を誰かが音読して、先生が(教科書に書いてあるテーマに沿って)質問するというスタイルである(少なくとも、私が小学生の時は)。
授業内容を覚えておけば筆記試験は簡単である。しかし、夏休み、冬休みの「読書感想文」は、いきなり難易度が上がって何を書いていいのか分からず途方に暮れる。
小中高生に読書感想文など書かせることは、至難なのだ。うん、まだ高校生なら何とかなるかもしれないが、小学生や中学生に書かせるのは、本当に酷だと思う。少数の例外をのぞいて、書けるはずがない。
日本の国語教育は両極端なのだ。「金槌や鋸の使い方を教えて、いきなり家を建てさせる」ような飛躍がある。
asahi.com : 日本は数学6位、読解力14位に転落 OECD学力調査
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200412070167.html
言語が異なるので、読解力の比較は難しいが、トップのフィンランドは独特の方法で国語教育を行って効果を上げている。フィンランド・メソッド Finland Method として日本でも紹介されているので要点をまとめてみた。
日本の教育に欠けている「思考力、表現力を鍛える(中級レベルの)訓練」が重視されていると思う。
鍛えるべき5つの能力
- 発想力
- 論理力
- 表現力
- 批判的思考力
- コミュニケーション力
具体的内容
- カルタ(マインドマップやメモリーツリーとまったく同じ)を作る集団授業。
- なんで?どうして? を連発。子供が答えられなくても気にせず聞きつづける。
- 母国語を外国語のように教える。
- いくつかの単語から、作文をする授業。
- フォーマットに従った作文授業(決して自由にかかせない)
- 「何がどうした」を考える、カルタと組みあせた作文授業
- 算数の文章題を国語の選択肢問題にする(解答するために必要な情報だけ抽出する力)
- 4-5人制で、作文の作成者を一人決め、その子が作った作文について、他の3人-4人が『いいところ』と『悪いところ』を10個づつ挙げ、修正していく。それを更に他のグループと交換して行う。
- 誰か1人が班長となって進め議論に必要なルールや決まりごとを、子供たちで作っていく。
効果・目的
- 『意見には理由をつける』ことを学ぶ。
- 周到な論理を構築しても、それを的確に表現できなければ、相手に伝わらないことを学ぶ。
- 自分発のなんで?ではなく、相手がなんでそう考えたのか?を考えられるよう育成する。
参考Links
asahi.com: 比較・競争とは無縁 学習到達度「世界一」のフィンランド
一方的に、これをやってきなさいと言っても、なかなかやってこない。しかし、「もっと勉強したい人は、この問題を解いてみたら」などと投げかけると、ほとんどの生徒が取り組むという。
菊川さんの話では、日本のような塾や予備校はない。高校進学は中学卒業時の成績で決まり、自分で卒業成績が低いと思えば、もう一年余計に中学へ通うことも可能だ。その場合、「落ちこぼれ」と言われるどころか、むしろ「長い期間、勉強した」というとらえ方をされる。日本のような受験競争とは無縁だ。
日本の「ゆとり教育」もこういう方向を目指したのだろうけど、「文化的な成熟」が足りなかったか。
楽しくお勉強して世界一のフィンランドと、刻苦勉励の末 14位の日本、なんとも皮肉な話である。
フィンランドメソッドについて - るいネット - 詳細な内容。
私も自分の小学校から高校まで受けた国語教育の方法には大いに疑問を持っておりました。フィンランドの国語教育の方法の中で「フォーマットに従った作文授業(決して自由にかかせない)」という項目こそ日本で大いにやっていただきたい、と思いました。