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hidew 2006.08.15

#1381 迷宮・靖国神社

小泉首相は基本的に靖国史観をほとんど否定している。A級戦犯を認め、あの戦争は間違いだったと言っているために、右の人からは「あの戦争を否定するとはけしからん」とまで批判される。左派は相変わらず「あの戦争を肯定するとはけしからん」と批判している。

「何をしたって批判する人はいる」「いつ行っても批判しているじゃないか」という小泉首相の愚痴はもっともだと思う。

靖国は心の問題であるがゆえに、解決の糸口がない。

解決策のひとつとして提示される「分祀論」は最初からまやかしである。靖国神社の関係者が「分祀という考え方自体が存在しない」「信仰上、分祀は不可能」と言っている通り、できないものはできない。それが合理的かどうかはともかく、宗教の原理に文句を言っても始まらないだろう。

もう一つの解決策として「新たな国立追悼施設を造る」というのもある。私のような信心深くない人間は、それでいいと思うのだけど、その方面の人に言わせると「無宗教の慰霊などあり得ない」「魂のない追悼施設に何の意味がある?」「靖国で会おうと言って戦死した人はどうなる?」と非難轟々である。

戦争被害を受けた中国、韓国の「日本を許さない」という姿勢も心の問題だが、日本がいくら土下座外交をしても解決しないどころか、ますます悪化しているようにも見える。中・韓の姿勢が合理的かどうかはともかく、そういう国民性なのだからどうしようもない。

迷宮・靖国で迷わないための唯一の方法は足を踏み入れないことである。本音と建前を使い分けて、物事を曖昧に処理するのは日本人の得意技だから、ポスト小泉では何事もなかったかのように元に戻ると思う。良くも悪くも小泉首相は変人すぎた。

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