Bobby 2006.04.30
#1240 論客、ゲージツに目覚める
論客、ゲージツに目覚める
深遠な思索と論理的な著述を本領とする論客が、新緑の季節に魂を誘われた。論客は光の具合で様々に変化する珠玉。多面的な人格が時に浮き彫りになる。
普段は研究者。時にアスリート、詩人、哲学者、ルール論を展開する法律家。そして今、論客は奥深く秘められていたゲージツごころを一気に開花させた。
論客の才能を刺激したのはピカソ、ムンクか、はたまたモヒカン、センドリか。オトナの先入観を断ち切り、無垢な幼児になり切って“お絵描き”に没頭した。
不眠不休で製作に挑んだ論客の心を捉え続けたのは「うまく描かない」こと。持って生まれた自分の心象を、そのまま小細工せず形に出そうとされたのだ。
数日後、すべての虚飾を取り去った生涯最高傑作「美人は追わず」が生まれた。感動した青葉山の信者たちは、論客を子供たちと無心に遊ぶ良寛師に喩えた。作品はネットで公開し、新しいゲージツの粋を皆に分かち与えることにした。出版社が駆け付け、作品を装丁して『新戦法・美人は追わず』が上梓された。
しかしこの傑作を快く思わない信者がいた。“青葉山の由香里姫”だった――。